四角四面
もう絶版になっている本を手に入れたくて、古本屋さんの通販で取り寄せたところ、きっちりと包んであったダンボールは「のどごし生」の入れ物だった。
キチンキチンと採寸して、ぴったりの寸法に切り出し、ものさしか何かで折り目をきっちりとつけて寸分違いなく美しく包まれていた、そのことにしみじみと感動した。
お店の誰が担当したのかは知る由もないが、勝手に「店主のおじいさんだろう」と決めつけている。
このお店に行ったこともないし、店主の方の顔もしらないけれど。
なぜおじいさんだと決めつけてしまうかと言えば、うちの祖父がこういうタイプだったからだ。文字を書くときにはまず鉛筆で薄く線を引き、自分なりの原稿用紙に仕立て上げてから書く。
自宅で経理の仕事をしていたが、手書きを嫌ってゴム印がずらりと並び、そのゴム印が曲がって押されることは決してなかった。
老人ホームに入ったあと、祖父の自宅を母と一緒に片付けたが、冷凍庫の中にはニチレイの焼きおにぎりがまるで図書館の本のように綺麗に賞味期限順に並んでしまわれていた。山のような写経、昔ながらの丸い帽子入れ、丁寧に保管されたイチローのポスター、何もかもが四角四面に几帳面だった。
そんな祖父のことをあれこれと思い出してしまうので、この四角四面のダンボールがなかなか捨てられずにいる。
見れば見るほどきっちりと、清潔感をおぼえるほどまっすぐな切り口。
わざわざ作って下さってありがとうございます。きっと趣味なのだとは思うけど。