そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

懐かしのメロディ

昔はよく「懐かしのメロディ」とか「思い出のヒット曲」なんて番組をやっていたけど、最近見ないな。
それにしても何かの拍子で突然思い出してはしばらく頭をめぐる曲がある。

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ここ数日はスプーンおばさんのエンディング曲が頭を巡っている。
夕方、これを見終わったらコタツを出てやらなきゃいけないことがあるから、最後の最後まで聞いていた。


もう一つ、冬になると絶対に思い出すのは加山雄三の「湯沢旅情」だ。
昔、家の近所を巡回していた灯油屋がこの曲を流しながらやってきたのだ。
だから今でも鼻歌で歌いながら、途中で「灯油屋でーす、灯油の販売です」とアナウンスを入れてしまう。

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日曜日の夕方、寒いのに灯油を買いに行かされるのが嫌だった。
あの灯油のトラックの灯り、物哀しいメロディ、寒さ、嫌だった気持ちをまざまざと思い出す。


おつかい関係でもう1曲忘れられないのはモーツアルト交響曲第40番。

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あの頃はそんな曲名も知らなかった。
ただ、おつかいでクリーニング屋さんに洋服を引き取りに行く時、店のドアを開けた瞬間この曲がドアチャイムとして流れる仕組みになっていたのだ。
店に入る時に音が鳴り、出るときも音が鳴る。結構な音量でしつこく鳴る。
大人になって、どこかでこの曲を耳にするたび、必ずクリーニング屋を思い出す

あのクリーニング屋さんは道のちょうど突き当りにあって、いつか夜中に車が店に突っ込んだ事故があった。事故のニュースを聞いたときも「あの音楽が鳴り響いたんだろうか」ということが気になった。


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最近、年の功だろうか、三味線っていいな、と思い始めた。
それで浪曲も聞くし、民謡も聞く。そんなわけでNHKラジオの「民謡をたずねて」という番組を聞いてみたところ
秋田音頭が流れてハッとした。
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秋田音頭という名前も知らなかったが、人生のある一時期、私は死ぬほどこの曲を聞いたのだ。自分の意志でなく。
当時、秋田をコンセプトにした居酒屋が都内にあって、そこでアルバイトをしていた。
確かお皿なんかも秋田の焼き物だったんじゃないかと思うが、まあ分厚くて重たい。おまけに鍋も重たい。結構な重労働だった。


店内は秋田弁が飛び交うし、アルバイトでも秋田県出身者が優遇される店だ。私はたまたま派遣で行っただけで、秋田には縁もゆかりもなかったが、挨拶は秋田弁でしなければならなかったし、まるでこれを食べて育ってきたかのような顔で料理の説明もしなければならなかった。
いつもどこかで後ろめたいような気持ちだった。

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この秋田音頭のメロディも死ぬほど聞いたが、聞き取れたのはいつも「秋田名物ほにゃららハタハタ」と「大館曲げわっぱ!」だけだった。やっと歌詞がわかった。


こうやって振り返ってみると、音楽と一緒に光景やその時のことを鮮明に思い出す曲というのはどれも「ちょっと憂鬱な気持ちで聞いた曲」だ。
夕方暗くなっていく時、夜の東京、寒い冬、ちょっと心細くて憂鬱で早く帰りたくて仕方ない時に聞いた曲。
楽しい時に聞いた曲よりずっと印象に残っている。