おわる日
大晦日というのがずっと苦手だった。
大体年末になると「今年のうちにあれもこれも」と掃除やら買い物やら年賀状やらやることが増える。
親がバタバタするので、こちらも座っていたら叱られる。あれをしろこれをしろ、と振り回されて疲れてしまう。
働きだしてからは年末年始もずっと仕事だったので、「おつかれさま、良いお年を」「おはようございます、あけましておめでとうございます」という日々だった。それはそれで別に良かった。
転職をして年末年始が休みの会社に変わったら、大晦日に驚くほど疲れ果てるようになってしまった。
もう親にあれをしろこれをしろ、と振り回されるわけじゃないのに、今度は世の中の「さあ年末だぞ、年が終わるぞ」という脅迫めいた浮かれムードにすっかりやられて、夜9時にはぐったりと寝てしまう。
数年、あの「終わるぞ」ムードに怯えた後、年末には旅行に行くことにしたりもした。
そして12/31に帰ってきた。どうしてだか、12/31には帰国しようと思った。そのまま旅先で正月を迎える気にはなれなかった。
帰宅する頃には年が明けていたりもしたけど。
ちゃんと「年末年始をやろう」と張り切った年もあった。
大掃除をし、正月の準備をして。
立ち仕事が多いので「あーあ、会社行ってるほうが楽だわ」なんて思いながら。そしてやっぱり疲れ果てて9時には寝た。
ここ数年はなんだかどうでもよくなって来た。
世の中もそんなにおせち料理だと騒がなくなってきたようで、年末のスーパーも大人しいものだった。
大掃除をしなくても罪悪感もそれほどなく、お正月の準備も特にせず、通常運転だ。
区切りをつけようとしたり、つけることに疲れたり、
区切りをつけることから逃げたり、やめたりしながら日々は続き年は重なる。