時を告げる猫
昨日は、一日出歩いていた。
我が家の場合は、出かける際に猫に「いってきます、何時に帰ります」と告げて出ることになっている。
バカバカしいと思われるかもしれないが、申告した時間内に帰宅すれば猫もそれほど怒らないが、時間を過ぎると怒りの制裁が待っている。
酷いときはブレーカーを落とす強制消灯だ。オーブントースターが棚から引きずり落とされていたこともあれば、麺つゆが床にぶちまけられていたこともある。怒り任せにちゅーる大量盗み食いという暴挙に出られたこともある。
ともかく時間にはうるさい猫たちだ。
ここ最近はコロナの感染拡大もあり、ほぼ外出しなかったので、出かけると告げると猫は「信じられない」という顔をする。
こんな日に東京に!?
すみません、すみません、豪栄道が引退なので、すみません、と逃げるように家を出た。
帰宅後、お詫びがてら、いつもよりいいご飯を出しはしたが、写真の整理が忙しくて猫と遊ぶ時間をないがしろにしてしまった。
もちろん激しい抗議デモが繰り広げられた。
なんとか少しだけ猫をじゃらし、「すみません、寝ます」と消灯するも、群衆の怒りは消えない。怒りの大疾走が始まった。最後は暴動を力づくで抑え込まえねばならぬほどであった。猫たちは仕方無しに私の体の上にずっしりと座り込んで眠りについた。
そして翌朝。
昨夜の夜ふかしのおかげで今朝は二度寝、三度寝だ。
しかし、猫相手にそんなことが許されようか。
私の胸の上で飛び跳ね、高らかに朝を告げ、「起きよ」と迫る猫。
ベランダに解き放つも「寒い!入れろ!朝だ!メシだ!」と要求は激しさを増すばかり。
更には「死んでいるのか?」と布団を掘りちらし、私を埋葬しようとする者まで現れる。
わかりました、起きます。起きますよ。
私は猫を飼っているのではない、猫に管理され、生きているのだ…。