そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

幻の名

石原慎太郎が亡くなったことで、様々な人のコメントが出たり、過去のエピソードが掘り起こされたりしているが、私にとって一番大きなエピソードはなんといってもこれだ。

石原慎太郎さんが死去 都知事として辣腕 ゆめもぐら」却下し大江戸線に決定

現在の都営大江戸線の路線名を決める際、いったん公募で決まった「東京環状線」(愛称は「ゆめもぐら」)を却下し、「大江戸線」と決定した。実際の路線が「6」の字を描き、完全な環状線ではないことが理由だった。

当時、あのニュース結構びっくりした。せっかく公募で決まったのに、そんな簡単にひっくり返す?って。
確か子どもたちも含めた公募で決まっていて、絵なんかも飾られていたような気がする。
切なさのあまり、今でも心の中でひっそりと「ゆめもぐら」と呼んでいる。車両も小さいし、もぐら感満載じゃないか。

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ゆめもぐら


そんな話を以前、秋田出身の知り合いにしたところ、彼女は「わかる!」と力強くうなづいて言った。


秋田新幹線が走る前に名前の公募があってね、『スピード感を感じさせる名前』って条件があったから、『なまはげ』って応募したの。それなのに『こまち』なんてひどくない?どこにスピード感があるの?」
彼女は力説する。


そして自分はいまだに心の中で「秋田新幹線なまはげ」と呼んでいると言っていた。
「本当はさー、出発する時に太鼓どんどん鳴らしてさ『乗り遅れた奴はいねがー!』とか言ってほしいよね」と壮大な夢も語っていた。
すごいアトラクションだな。そんな新幹線、是非乗ってみたいものだ。

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なまはげ号と青なまはげ号が走れば良い。


結局名前なんて公募したって、最終的に大人の都合で簡単にひっくり返されるのよね…と思いながらあれこれ調べていたら、東京タワーも同じように、公募とは違う名になっていたことを知った。

名称公募で昭和33年10月13日に決定。
一番多かった名前は「昭和塔」で、それに「日本塔」「平和塔」が続く。
他に「きりん塔」「アルプス塔」「ゴールデン・タワー」「オリエンタル・タワー」「宇宙塔」「プリンス塔」など。
ちなみに「東京タワー」の応募は223通で全体の0・26%だったが、審査会の委員長である徳川夢声が推挙し、審査会で決定した。

昭和塔だったのか、東京タワー。
そして大江戸線と同じように、一人の意見でひっくり返されたのか。
今でもまだ、納得いかず、心の中で「昭和塔」と呼んでいる人もいるのだろうか。


結局使われなかった幻の名を胸に抱き、更には、名前の変遷についていけず、未だに「教育テレビ」だの「西武球場」だの「ソニプラ」だの呼びながら生きていくのだ。