そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

好きっていいなよ

子供の頃から辛いものは苦手だった。
食べられるようになったのは、大学に入って第2外国語で韓国語を選択してからだ。韓国語を選んで、韓国との学生交流団体に入って、韓国料理を食べる機会が増えた。

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ダッカルビ


その交流団体で、夏に2週間ほど韓国に学術交流に行ったのだけれど、ご飯以外は全部赤く全部辛い!という食事だった。日本側の学生は私以外みんなお腹を壊した。あの時、人生で初めて自分の胃腸が人より丈夫だということを実感した。


韓国人学生たちは辛いものを食べながらしみじみと言った。「辛さの中に5つの味がある。甘味・酸味・塩味・苦味・旨味」
なるほどなあ、と聞きながら韓国料理を食べ、少しだけ辛さの中に味があるというのがわかったようなわからないような。


帰国してから、少しは辛いものが好きになったような気がして、アジア料理好きの友達と新宿地下街のタイ料理屋さんでご飯を食べた。
そしてヤムウンセンに完全にノックアウトされた。

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ヤムウンセン


もはや、これは辛いんじゃない。痛いのだ。口が痛くてたまらない。
半分も食べられずにギブアップして、「ああ、調子に乗っていたな。そうだ、私は辛いものが苦手だったのだ」と痛感した。
未だにあのヤムウンセンが「人生で一番辛かった食べ物」だ。



それから時は経ち、コロナに入るちょっと前から中国語の勉強を始めた。私は外国語を学ぶと、その国の料理が食べたくなるし、その国の大衆文化が知りたくなるタイプだ。
だから家庭で食べる中華料理をあれこれ調べたし、火鍋にだってチャレンジしてみた。今はお家用の火鍋セットなども売られているのだ。


そうして、いろいろチャレンジしているうちにだんだん辛いものが食べられるようになってくる。


火鍋愛はこのコラムがすごくて、火鍋を作る前に何度も読んだ。

「じゃ、火鍋行っとこうか!」
会食、接待、歓迎会、誕生会、その他何でも、
重慶では数人が集まれば、すぐに「火鍋だ!」となります。
最低でも週一。
週二でも週三でも、ぜんぜん飽きない。
真夏も火鍋。真冬も火鍋。年中火鍋です。


ちなみにつけダレはこちらを参照。


辛い!でもおいしい!中国の人はこういうものを食べているのか。
と感心しながら食べているうちに私も週イチで火鍋が食べたくなってくる。ハマると突っ走るタイプなんですよ。
今だって家に火鍋の素が3袋ストックされている。


豆板醤もおそるおそる買った。そしてそのスッキリとした辛さに感銘を受けた。コチュジャンは辛くて甘い。でも豆板醤はキリっと辛い。潔い辛さ。
豆板醤もいろんな種類があるから、スーパーで売っているものだけでなく、もうちょっとクセの強いやつも買った。


それでも、「辛い食べ物が好き」とはどうしても言えなかった。
だって、今ハマっているから食べたいだけだし、あの日ヤムウンセンにボコボコにされたトラウマもある。



先日、お昼に四川料理屋さんに入って麻婆豆腐を頼んだ。
ウェイターの中国人のお兄さんは「あー、うちの麻婆豆腐、すごく辛いです。辛さ弱めますか」と心配そうに聞いてくる。そう言われたらビビってしまうので「ち…中辛で」と恐る恐る答えると、「普通が中辛ですけど、でもすごく辛いですよ?うちのは。」と追い打ちをかけてくる。


ここで日和るべきか頑張るべきか。
迷っていると、「辛いものは好きですか?」とお兄さんが聞いてきた。
「…わ、わりと」
勇気を出してそう言うと「それなら中辛でもってきますね!」とニッコリ笑うお兄さん。


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そうして出てきた麻婆豆腐。四川風の辛いやつ。
確かに辛い。豆板醤の辛さ、味噌みたいな塩気と、花椒のビリビリする感じ。
でもおいしい!私、この辛さ全然食べられる!!


後から入ってきたおじさんも麻婆豆腐を注文したが、ウェイターのお兄さんに「辛いですよ」とおどされて「え!!じゃあ、辛さ弱くしてね!」とお願いしていた。
ふふふ。
ふふふふふふふふ。
私は普通に頼んだわ。そして美味しく食べてるわ。


この麻婆豆腐を食べられたからには、私、今日から「辛いもの好きなんですよー」って胸を張って言っていいはず。
今度お兄さんに「辛いものは好きですか」って聞かれたらスラムダンク桜木花道のごとく答えたい。
「大好きです」

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けどヤムウンセンには手を出さないつもり。