名前をつけてやる
雫「ムーンは君んちのネコじゃないの?」
聖司「あいつをひきとめるのはムリだよ。」
聖司「よその家で、お玉って呼ばれてるのを、見たことあるんだ。」
聖司「他にもきっと名前があるよ。」
うちの猫の名はどんこ。
チビの頃、椎茸をかぶったみたいな頭をしていたことが名前の由来だ。
「耳をすませば」のムーンみたいに半分野良猫であちこちの家を渡り歩いているわけではないが、毎朝ベランダに立ち、通学中の小学生を見守るという「定年後のおじいさん」みたいなミッションを遂行中だ。
猫だけベランダに出して、私は家の中で布団を畳んだり着替えたり、猫のトイレを掃除したりしているが、だいぶ温かくなってきたので、少しだけ窓を開けたままにしている。
当然子どもたちの声が聞こえてくるが、今朝は驚きの発言を耳にした。
「あ!たまねぎだ!」
「この子、たまねぎ、って言うんだよ」
「かわいいねえ、たまねぎ」
「じゃあね!たまねぎ!」
…どんこ。
あなた、いつから「たまねぎ」って呼ばれてたの??
…そうだったの…。「たまねぎ」だったの…。
なぜ「たまねぎ」なのだろう。ちょっと茶色い部分があるから?
あれこれと想像を膨らませ、由来に思いを馳せつつも、そのネーミングセンスに心を鷲掴みにされているのだ。
「たまねぎ」って名前をつけるの、いいな。
そんな名前よく思いついたな。子供ってすごいな。小学生め、やりおるな。
どんこ、いい名前もらってよかったね。
今日からどんこのミドルネームは「たまねぎ」だからね。