話そう
今の世の中でも女子だけ集められるのかはわからないが、私が小学生の頃は高学年になると女子だけが視聴覚室に集められて月経の説明を受け、パンフレットと生理用品をもらった。
それまで、性について本当に無知だったし、意識したこともなかったので「なんと!これから私の体にそんなことが起こるのか!」と不思議で少しワクワクした気持ちにもなった。
私はそんな風に、これから始まる第二次性徴や生理に無邪気にワクワクして興味津津だったし、当時の我が家が父子家庭だったこともあって、いろんな女の子たちに事あるごとに、あれこれ聞いて回ったが、みんないい顔はしなかった。
それで初めて「ああ、生理のことや毛が生えてくることや胸が大きくなることは人と話してはいけないことなのか」と知った。
話す時は辺りを気にして声をひそめ、男子の存在に注意をし、「アレ」とか「お月様」とか隠語を使いながら話さなければいけないのだ。
めーんどくさーーーい。
初潮を迎えたのは中学校の入学式だ。
トイレで「あー、ついに来たか、しかも今このタイミングでか」と思った。
初めて会った先生に一体なんと言えばいいのかわからず、ホームルーム中に立ち上がって正直に「生理になったので保健室に行きたい」と伝えた。
先生は後で廊下の隅で「体調が悪いので、とか言えばよかったのに」と気の毒そうな顔で私に言った。そんな言い訳の仕方があったのか!と勉強になった。
翌日から男子には「おい生理!」と呼ばれたが私は別に平気だった。周りの女子たちはドン引きしていた。
何年か前から「生理は恥ずかしいことじゃない!」「生理について男子も知るべき!」などと声高に叫ばれるようになり、百貨店で店員が生理バッジをつけるなんてこともニュースになっていた。
確かに生理は恥ずかしいことじゃない。でも生理バッジは違うんじゃないかなと思った。
うんこおしっこだって誰でもするし、当たり前のことで恥ずかしいことじゃないけど、わざわざ「さっきうんこしました」とみんなに宣言する必要はない。
それと同じで生理中アピールも別にいらないのでは、と。
だけどそれくらい声高にアピールしたくなるくらい、我々は「口にすべきじゃない」「隠すもの」と教え込まれてきた。その反動なんだろうかとも思った。
年を重ねるごとに周囲も生理の話をそれほどヒソヒソすることはなくなってきた感じがするが、最近また同じような問題に直面している。
更年期と老眼だ。
この話をすると周りの女性たちが、あの初潮の頃のように言葉を濁し、話題を変え、そして時には怒り出すのだ。
「やめて!まだそんな年じゃないから!」「そんなこと考えたくない」「まだまだ早いって」「老眼なんて絶対認めない」などと。
私はどちらかと言うと素直に年を重ねて、感じよく枯れていきたい方なので、老眼も「来たか!」とウキウキ受け入れているし、更年期も積極的に情報を集め、なるほどねー、と思っているが、ずっと若々しくいたい人の方が世の中にはもちろん多い。
タレントの磯野貴理子さんは40代半ばで更年期の症状が出始めました
— NHKニュース (@nhk_news) 2022年4月14日
歩道橋が怖くて渡れない
テキパキと判断する性格のはずなのに迷うことが増える
気が弱くなる…
更年期の症状は、人によって実にさまざまなんですhttps://t.co/bCtTBahwm6#みんなの更年期 #NHKスペシャル #首都圏ネットワーク pic.twitter.com/5brWZCc5YO
先日TwitterでNHKが更年期についてツイートしているのを見た。
自分が更年期だからかもしれないが、最近「更年期を受け入れよう」系のニュースをよく見る気がする。NHKでも更年期特集をあれこれ放送するみたいだし、男性の更年期が語られるようになったり、更年期の症状がつらくて仕事を辞めざるを得ない状況を問題視するネットニュースを読んだり。
その中でもこの磯野貴理子の話はとても良かった。
「話そう」
本当にそうだよね。
みんな通る道で、個人差も大きい。
だからこそ先輩の話も聞きたいし、周りの人がどんな風に対処しているのか、どんな工夫しているのか、どんな症状が出たのかだって知りたい。
更年期が終わったら、今度はどうなるの?っていうことだって知りたい。
おかげさまで、今、そんなに症状がひどいわけでもなく過ごせているのだけれど、何度も何度もネットでいろいろ調べて、仕方ないかと思ったり、少し不安になったりもしている。だから思うのだ。
ねえ、教えて?って。あなたはどうだったの?別のあなたはどんな症状なの?私のこれってどう思う?
ねえ、話そう?って。