アリエスの男たち
春になると頭のネジがちょっとゆるんでしまうことがあるけれど、そんな時必ず思い出す漫画の一コマがある。
まあ、あのボーイズラブコミックスで恐縮なんですけどね。
春になると人より頭がピーになる星の下に生まれた主人公。
その星の名はアリエス。
きっと男子はみんなアリエスのさだめの星に身を焼いているのだろうと思う。
以前に同僚が、春休みに入る長男くんについて「持って帰ってきたお道具箱を開けたら、いろんなものがぐっちゃぐちゃになっていて、色鉛筆は2本しか残っていなかった」とボヤいていた。更に長男くんは最近替え歌に凝っているらしく、どんな歌でも「うんこちんこ」と歌うらしい。
男子あるある。
私が小学生の頃の周りの男子もそんな感じだったが、今でも男子はそうなのかと驚いた。生まれた時からインターネットもスマホも普及していて、iPadで遊ぶような子供だし、もっと冷めているんじゃないかと思ったが、相変わらず男子はうんこちんこに夢中か。
春の動物園のゾウ舎の前ではちびっこ男子が力の限り絶叫していた。
「ぞう、しゃん! ぞう!しゃん!!」
そうだね、象だね。
更に象のうんこを見つけたら大変だ。この子、このまま失神するんじゃないかという勢いで母親を呼ぶ。
「あああああ!!ママ!見て!!象のうんこ!デッッケーーー!!」
以前にとても嬉しかったのはスーパーで「ええじゃないか!ええじゃないか!」と飛び跳ねる小学生男子を見たときだ。きっと学校の歴史の授業で習ったところなんだろう。まるで小学校の教室に戻ったような錯覚をするほどだった。同じクラスの河合くんが踊り狂っていたっけな。
30年以上たっても受け継がれている男子の伝統芸。
5月のコンビニで、小学生男子3人が「会いたくて 会いたくてふるーえるーーー!!」と熱唱しながら店に入ってきたこともあった。
そしてその中の一人がふと我に返って言うのだ。
「ねえ、なんで会いたいと震えんの?」
いやあ、ホントなんでだろうね。そのうちわかるんじゃないかしら。おばちゃんニヤニヤしちゃったわ。
こんなことをあれこれ思い出したのは、今日、うちの外ではしゃいで遊んでいた中学生男子たちが大声で「オオーーーシャンゼリゼー!!」と繰り返し熱唱していたからだ。
うるさいけど、あまりに楽しそうに無邪気に歌っているので、ああ、春だなと思った。
春になって浮かれておかしくなってるんだろう。彼らもまたアリエスの星の下に生まれたに違いない。
まったく男子ってバカだねえ。
だけど「バカだねえ」って笑ってる時、しみじみと平和と幸せを実感する。
男子の無邪気なアホさって、どうしてこんなに人の心をなごませるんだろう。
いつの時代も変わらずアホでいてくれてありがとね。
陽気に繰り返されるオー・シャンゼリゼに笑わせてもらった日曜日。