山笑う

4月で仕事を辞めたので、「やっと終わった」と少しホっとしたことと、雨続きのせいもあって、あまり外に出ていく気分にならなかったけど、昨日の朝、ゴミ捨てに外に出たら、「まあ!なんという新緑!世界が輝いている!」と驚いた。


それで昨日はベランダで日光浴したり読書したり、ご飯を食べたり、狭いベランダながらリゾート気分を満喫した。
ベランダの下には小さな川が流れているので、せせらぎを聞きながら。
川向こうの公園の緑が本当にキラキラで、「今がいちばんいい季節だな」と思った。

ハムと卵を挟んだ葱油餅に猫を添えて。


ああ、この一番いい季節をずっとベランダリゾートで過ごすわけにはいかない、山へ行かなければと思い立った。
山といっても、私がいくのはそんな大層な山じゃない。丹沢やら箱根やら鎌倉アルプスといった低山だ。GWだからどこも混んでいるだろう。
いつもの私だったら、なるべく人のいない地味な場所を選ぶところだ。


だけど、久々の山歩きがちょっと心細いことと、仕事を辞めて人に会わなくなったら人恋しさもあって、「人の多い山、山歩きのリハビリにちょうどいい山に行こう!」と高尾山に決めた。
人出はどんなものかとTwitterを見たところ、相当混雑しているらしい。
今日になったらこんなニュースも出ていた。


それなら混雑を避けて早朝に行こうと決めて、7:30すぎに高尾山口に着いたけれど、その時点で結構な人出だった。
普段は6号路から登って陣馬山へ向かってしまうので、正直ちゃんと高尾山を歩いたことがなかった。なので今回は1号路から登る。
舗装された道路で車も何台も登ってくるけれど、相当な急勾配だ。

緑がきれい。やっぱりいちばんいい季節だ。



今までまるで知らなかったけれど、こうしてメインルートの1号路を歩いてみてやっと気づく。高尾山ていうのはお寺を巡ることがメインの信仰の山だったんだな。そして神仏習合らしい。
www.takaopress.net

カッコいいポーズの天狗様


お寺を抜けて山頂に着いたのが午前9時。山頂はびっくりするほど混雑していた。でも早い時間だから富士山が見れて良かった。
昔聞いた話では、海水が日光で蒸発して霞んでしまうので昼近くになると富士山が見えなくなるということだった。なるほどね。

やっぱり富士山が見えるとラッキーな気持ちになるよな。


一休みしてから、4号路で下る。
舗装されていない山道で、人も少なめで静かですごく気持ちがいい。



後ろを、お父さんと歩いていた小学生くらいの男の子が、たどたどしい口調で大人びたことを言っていた。
「人が少ないと、さ。静かで、いいね。鳥の声とかさ。木漏れ日。あと風の音」


本当にそうだね。私も同じ気持ち。



さっきまでは人が多すぎてそれどころではなかったけれど、人が少なくなると、行き交う人が「こんにちは」と挨拶を交わしだす。
脇で待機して道を譲れば、小さな子供に「どうもありがとう」と言われる。
ああ、人のいる山に来て良かった。

吊り橋


この時期の山は「ありとあらゆる緑色」で溢れている。春になって、どんどん新芽が伸びて葉を広げ、生命力を爆発させる。
ああ、「山笑う」季節が来たなあ。


10年くらい前にもブログに書いていた。

春の山の草木が一斉に若芽を吹いて、明るい感じになる様子を「山笑う」と言うのだそうで、初めてこの言葉を習った高校生の時から、春になるたびに「すごい言葉だな」と、しみじみと噛み締めた。


やっぱりすごい言葉だな、「山笑う」
笑う、という言葉がぴったりなくらいに緑がどんどん湧き上がってくる。
これがいちばんいい季節。
いちばんいい季節にちょうどよく山歩きができて幸せだった。