良き友

吉田兼好徒然草に書いている。

よき友、三つあり。一つには、物くるゝ友。二つには医師。三つには、智恵ある友。

なんだ、なんだ。利用する気満々だな。吉田兼好め。


物くるる友も智恵ある友も良いのだけど、私がしみじみ「この人は良き友だ」と思うのは、食べ物のセンスがいいな、と思うときだ。
大好きなカエル姉さんはある日思い立ってLINEしてくる。
イカ焼き食べたい


そんなメッセージが仕事中に突然届くと笑ってしまう。イカ焼きか!自分ではなかなか食べようと思わないものだった。
それで居酒屋でイカ焼きを食べて、姉さんは満足していたし、私も「こんなにおいしいのか」と驚いた。
あれ以来、イカ焼きを見るとカエル姉さんを思い出す。

七味マヨ最高。


友人タキコと一緒に飲みに行くと、いつもタキコの選ぶ肴のチョイスに「どうして私が好きだけど忘れてたものを絶妙に選ぶの?」と驚いた。
炙ったエイヒレ、ぬた、ポテトサラダ、お茶漬け、ブルーチーズ。
タキコは「ポテトサラダちびちび舐めながらビール飲むのがいいんよね」とゲラゲラ笑っていた。

それぞれのお店や家庭でちょっとずつ違うのがまたいい、ポテトサラダ。


相撲友達のまるこは、家飲み会の時に持ってくるご飯がいつも素晴らしい。
近所のお寿司屋さんの巻き寿司、母直伝のイワシの煮付け、茄子のマリネや、焼いた厚揚げに薬味をどっさり載せたやつ。


巻き寿司は、あれから私も毎回買って持っていくくらいハマった。
まるこ母直伝のイワシの煮付けは自分でも作るようになった。
「まるこのご飯、全部私が好きなものだよ、全部美味しいね!」と言うと、まるこは「世代が近いから好みも似てるんでしょうね」と澄まして言う。



先日、衝撃を受けたのが仙台の友人、鮭太郎だ。
鮭太郎も美味しいものをたくさん知っているし、彼女とご飯を食べるといつも美味しくて楽しい。
今回、仙台で彼女と行った温泉で、受付を済ませるなり鮭太郎は言った。
「何度も入ってゆっくりしようよ。それで、クリームソーダ飲むって私、決めてるから


クリームソーダ!!!
もう、本当に驚いた。すっかりそんな飲み物の存在を忘れていた。でも思い出したら飲みたくてたまらなくなる。
子供の頃と同じように、クリームソーダという名前だけで「わあ!!」と胸がトキめく魔法の飲み物のように思えてくる。


2回温泉を出入りしていよいよクリームソーダを注文して畳の上で待つ。
まるで夏休みの海の家みたいだ。

夢の飲み物


別にさくらんぼなんかもついていない、ごくごく普通のシンプルなありふれたクリームソーダ250円なんだけど、いい大人が二人して満面の笑みで出迎える。
そしてクリームソーダ飲む時に絶対しちゃう話をする。
「アワアワになってきたね」「この泡もおいしいよね」「あとさー、アイスと氷の堺のジャリジャリがいいよねえ」


思い出しても幸せだ。
気の合う友達と美味しいものを食べて、私一人だったら思いつかないようなものを「これ食べよ」って言ってくれて、それがものすごくおいしくて、後で思い出してもずっと「あれは良かった」としみじみできて、何度でもおいしい。
おまけにクリームソーダなんて幸福の象徴じゃないか。


良き友、いつもありがとう。