神のお告げ
在宅勤務をしていた頃は、なにかあると猫を言い訳に使ったりしていた。
オンライン会議中、自分でコーヒーをこぼしたのに、「ああ！すみません、猫が！」とか、音楽を流したまま電話に出てしまい、「すみません、猫がいたずらして」とか。
コロナ前の飲み会でちょっと早く帰りたいときにも「猫が待ってるのでー」なんて言って。
しかし無職の今、そんな言い訳が使えようか。そもそも自分相手にそんな言い訳が必要であろうか…。
昨夜、私は大変なことに気がついてしまった。
冷蔵庫の野菜庫の中で、片栗粉の袋がひっくり返り、片栗粉が雪のように積もっているのだ。
嗚呼！
一瞬、猫のせいにしようかと思ったが、猫じゃない。
これは私のせいだ。私がきちんと片栗粉のチャックをしめていなかったのだ。
仕方なく、夜な夜な、野菜をすべて取り出し、片栗粉をゴミ箱に捨て、風呂場で野菜庫のケースを洗った。
まあ、懸案事項だったしな、野菜庫の整理。ついでに古いカレー粉を捨てたりもできたしな。
そして今朝だ。
台所でガタン！と音がした。
猫か！と思ったが、寝ていた猫たちがなんだなんだと起き出して見に来たので、猫は無罪。
なんと、オイルポットがガステーブルの上に倒れて油がこぼれているではないですか！
…私が、朝食でオムレツ作った後にちゃんと奥までしまわなかったんだろう、そうだろう。
またしても仕方なく朝から油とりパッドで油を吸い取り、ガステーブルも一旦外し、ガス台マットも交換する。五徳も全部はずして洗い、オイルポットも洗った。ついでに換気扇も掃除してフィルターを変えた。
もうこの時点で思っていた。
これは掃除の神様のお告げか何かだろうな。掃除しろってことなんだろうな。昨日から引き続き。
トイレの神様みたいなアレだろう。
そんなこと思ったら、トイレも掃除しとかないと、と思い、掃除する。
油っぽくなったからシャワーを浴びたら、風呂場も掃除しなければと思う。
そんな訳で昨日今日と半ば強制的に掃除の神様に掃除をさせられた。
無職は猫のせいにもできず、ただ己の愚かさを呪い、まあ、いいチャンスかと強がりながら黙々と掃除するのみだ。
きっとこれでもうお金なんかじゃぶじゃぶ入ってきちゃうんじゃない？
ウェルカムだよ！
