そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

猫だって猫だって

昔、劇団に勤めていた頃、一番好きだったのはファミリーミュージカルだった。


疲れて、何のために仕事をしているのかわからなくなる時など、ファミリーミュージカルを担当して、子どもが大はしゃぎしているのを見ては「ああ、このためにやってたんだなあ」としみじみ思い出した。
スタッフは1度は客席で公演を見ないといけないのだけれど、ファミリーミュージカルだと大体みんな号泣して帰ってくる。
それはストーリーが感動的だから、とかではないのだ。


まっすぐでわかりやすいストーリーに一喜一憂する子どもたちの反応があって、笑ったり大声をあげたり、恋人たちのシーンではもじもじしたり、咳払いをしたり、そういう素直な子供の反応に泣くのだ。

子どもってなんで長靴好きなの。


昔、幼稚園の観劇教室で「長靴をはいた猫」を見てきた弟たちが、家で延々と歌っていた劇中歌を、私は未だに覚えている。
調べたら「劇団銀河鉄道」というところらしい。



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この、劇団のテーマ曲も延々歌っていたが、「長靴をはいた猫」の歌は「猫だって猫だって昼寝ばっかりしちゃいない、やるときゃやるさー」という歌だった。



うちの猫は昼寝ばっかりしているが、それでも最近家の中がどうにもこうにもおかしいことには気づいているようで、「なに?なに?」とばかりににゃーにゃー言っている。
いよいよ、引っ越しの日も近づいたので、普段使いの猫トイレはもう新居に送ってしまった。
今は子猫用の小さなものを使わせているが、特に文句も言わずちゃんと使ってくれている。訝しげではあるけれど。


そして、トイレのサイズが合わないため、時折ひっくり返してしまっては「あ!怒られる!」とばかりに逃げていく。
怒らないわよ、不便をかけているのはこっちなんだから。
黙って片付ける私を、猫は遠くからそっと訝しげに見ている。



そのいじらしさに「申し訳ないな」と思う。
不用品回収の日は邪魔にならないように閉じ込めたし、引っ越しの日は閉じ込めた上に更に新幹線で運搬だ。
ストレスもたまるだろうけど、ごめんね、と言うと、猫は「別に」と言った体でまた寝てしまう。
起きたら少し甘えにやってくる。


まったく猫というのは、思った以上に賢くて、空気も読むし、我慢もする。
好奇心旺盛で、いじらしいところもあって、まっすぐな愛情を持っていて、心根が素直でまるで5歳の子どもみたい。


その素直な反応に胸を打たれて私は、「ああ、何はともあれまずは猫を守らねばな」と誓うのだ。
猫は猫で「オレがいないとダメなんだからなあ、全く」「猫だって猫だってやるときゃやるさ」と思ってるっぽいんだけど。



頼むわよ、ホント。