そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

絶望の淵

朝、引越しの荷物が届いた。
搬出も早かったが搬入も早い。
あっという間に部屋がダンボールまみれだ。
引越し屋さんのお兄さんは本当にいい人で、てきぱき仕事しつつ、世間話に付き合ってくれた。


この時点では私は椅子に座ってくるくる回り、お兄さんとお話しながらご機嫌そのものだった。
猫は押し入れの中で息を潜めていた。また昨日みたいにどこかに閉じ込められ連れ去られ、大変な目に遭うと思ったんだろう。
本当に静かだったので、そんなにトラウマだったか、と申し訳なくなった。

こういう民芸家具に囲まれて生きられたらいいわねえ。


だが、猫の心配をしている場合ではない。私の地獄はここから始まったのだった。
私はなんという愚か者なのだ。台所に置く予定でわざわざ持ってきた突っ張り戸棚は高さが今の家に合わなかったし、カーテンの丈も足りなかった。物干し竿の長さも足りず、そうこうしているうちに朦朧としてきて、だんだん何がどこにあるのかわからなくなった。
とにもかくにも「とりあえず全部詰めよう」と詰めてきたのだ。洋服を緩衝材代わりに隙間に詰めて。


それを出すことが、そしてどう整理するかどう収納するか考えながら片付けることが、こんなにも苦痛だとは。

苦しいです、サンタマリア。


吐きそうなくらい疲弊し、絶望し、それでも区役所へ転入届を出しに行ったし、生協にも加入して買い物もした。洗濯もしたしネットもつないだ。今日からは冷蔵庫もあるし、机でご飯が食べられる。
もうそれだけで、私は最高に頑張ったと思う。


腰も痛いし、なぜだか足も筋肉痛だ。
ああ、明日こそ、醤油を見つけ、ゴミ箱も見つけるんだ。そして明日こそ米を炊こう。テレビもつないで相撲も見よう。
ショーシャンクの空に」くらい切実に、私はすべて片付く日を夢見ている。