そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

奇跡の人


この前、うちで「だらだらと漫画を読む会」を開催したので、ガラスの仮面ダンボールから出した。
出したら読んでしまう。何度読んでも面白いな。
亜弓さんの男気溢れるマヤの仇討ち、恋愛に興味がなさすぎて、いっそ清々しいまでに端役の男を利用して「恋愛の疑似体験」をする鬼っぷり。


そんな中でも今回一番読みたかったシーンは「奇跡の人」オーディションのためにマヤが山荘にこもってヘレン・ケラーの感覚をつかもうとするところだ。
耳に粘土を入れ、目を布で塞いだマヤは退屈しのぎに毛糸玉を引いては巻き、引いては巻き、繰り返して遊ぶ。




さて、仕事がヒマだ。本当の本当にヒマだ。
インターネットがあれば、調べ物したり、地図を見たり、Amazonを眺めたりでもできるだろう。
でもインターネットのない会社だ。
これを言うとみんな笑うが、本当にないのだ。回線は課に1本。「ネット使いまーす」「終わりましたー」と声掛けが必須だ。
そんな職場で呑気にAmazonなど見ていられようか。


そうなるとただ座って祈りを捧げるか瞑想するかしかない。
マニュアルはもう作った。見ることのできる資料はほぼすべて見た。あちこちを掃除し、ゴム印類も拭き上げ、電話メモも大量に作成した。社内便用封筒の補修もした。
そうしてもうやることのなくなった私にできることはただ、平たいゴムを伸ばしたり丸めたり伸ばしたり丸めたりすることだけだ。



延々とゴムを丸めているとだんだんゴムに粘りが出て粘土のようになってくるんですよ、知っていましたか?知りませんよね。だって普通は延々とこんなことしない。
こんなことを延々と繰り返すのは、ガラスの仮面のマヤのように「奇跡の人」になろうとするときだけ。
私、あのオーディションに出れるな、と思いながら延々と丸めていた。そして時々密かに机で泣いた。


もう精神的に限界だと思い、上長に「仕事がないので辞めたい」とお伝えしたところ「そうだったんだ、ごめんね。でも考え直してほしい」と言っていただいた。
驚くじゃない…。「そうだったんだ」て!「そうだったんだ」って!!
私があんなにヒマそうにしていても、何もせずに座っていても、別に気にならなかったのか。そうなのか。そうなのね。


開き直った私、今日も暇だったので、折り紙をしていた。
明日はやることがあるだろうか。
上長は「辞められたら困るの」と言っていたけど、困らないでしょ。だって何もしていないんだもの。
いろんな意味で「奇跡の人」だもの。