そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

米の国

仙台に引っ越してきて、1ヶ月半。
広大な水田の姿にも少しずつ慣れてきて最初ほど驚かなくなった。



これは8月中旬の水田だ。だいぶ稲穂が実っている。そろそろ早稲種の稲刈りは始まっているそうだ。
そして友人鮭太郎には言われた。
「お米、大丈夫?足りてる?もし今のが足りてるんだったら、新米出るまでは頑張って持たせてね。新米出たら買いに行こう」
…そんな新米のタイミングなんか気にしたのは人生で初めてだ。まるでアーティストの新譜が出るみたいなノリで言うんだな。
「もうちょっとしたら新米出るから、楽しみだねー」って。


そう、ここはお米の国。このお米の国の威力にはまだまだ驚いている。
まずもって、売られている米の単位が違うのだ。首都圏だったら5kg、2kg、1kgという単位の米が、こちらでは30kg、10kg、5kgだ。



スーパーで売られる30kgの玄米。これを都度コイン精米で精米して食べるらしい。どうやって運搬するんだろう、この米を。ちょっとやそっとじゃびくともしないのに。
更には、米が謎に増量されているのだ。



「今だけ500g増量!10.5kg!」などと。こんな増量、首都圏では見たことがない。そもそも10kgの米袋自体見ない。
そう言うと、友人鮭太郎は心細そうな顔で「え!5kgなんてすぐになくなっちゃうじゃない…」と言う。
それで私の脳裏にいつか読んだ「この世界の片隅に」の脚注が浮かんできた。



左の欄外に「当時の人は現代人よりずっと米が大好きです」と書いてある。
いや、東北の人は今でもずっと米が大好きみたいですよ。
だって、売られているお弁当のお米の量も、みんなが持ってくる自家製弁当のお米の量も大盛りだもの。東京の女子みたいに小さなお弁当箱じゃない。しっかり2段のお弁当箱で、ぎっしりのご飯とおかずが詰まっている豊かなやつだ。


そして彼らはお米が好きなだけじゃない、餅も大好きのようだ。



これは秋保の有名なおはぎ。「すごく美味しいよ!」と勧められたが、すごくデカすぎて食べられる自信がなく、買わなかった。
亀の子束子くらいのサイズだ。


そして、福島のソウルフードらしい「凍天(しみてん)」
私は仙台で初めて食べたが、ものすごいボリュームだ。
草餅に衣をつけて揚げてあるのだ。


凍天とは、凍み餅(よもぎなどを混ぜ込んだ草餅を屋外に一晩吊るして凍らせ、寒風で1ヶ月ほど乾燥させて作られる福島伝統の保存食)を水でもどし、ドーナツ生地で包んで揚げた福島名物のスイーツです。


餅をドーナツ生地で包んだ上に更に揚げる、という暴挙。
この低糖質時代にすごい食べ物だ。



こちらはスーパーで見かけた「岩手県名物 力あんぱん(もち入)」
なぜなの。なぜ、あんぱんに餅を入れるの。なぜ小麦+小豆+餅なんていう重戦車を生み出してしまうの?


今日は夕方、友人鮭太郎が「今からどら焼き持っていくね!」と家に来てくれた。
持ってきてくれたどら焼きはこれだ。



仙台名物と書いてあり、裏面には「仙台のソウルフード」と書いてあったこのどら焼きは餅入りだ。
鮭太郎はむしゃむしゃ食べながら言った。
「あたし、このどら焼きで育ったから、東京行ってたとき、なんで東京のどら焼きは餅が入ってないんだろうって思ってたんだよね」
いやいやいや、むしろなんで餅を入れたんだ、仙台は。


米の国、恐ろしい。米は大量だし、米にこだわるし、なんにでも餅を入れようとする。
そして、何より恐ろしいのは米がやたら美味しいことと「ご飯の友」が超充実していることだ。塩辛やら漬物やら佃煮やら…。
先日は閖上で美味しい松前漬けやちりめんじゃこを買ってしまった。


おお、恐ろしい、低糖質の時代の流れに逆らって、私もついついお米大好きになってしまいそう。