そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

どこへ行こうと

ハッハッハッハ、どこへ行こうというのかね!


ムスカ大佐のほがらかな笑い、恐ろしい。
それはともかく、横浜から仙台に移り住んで、友人はいろいろなところへ連れていってくれるし、自分でもあちこちへ出かける。
そういう生活の中、密かに思っていたことは「どこに行ってもこんにゃくだな」ということだ。


蔵王に行っても、山寺に行っても、定義山も秋保も道の駅も、祭りを見かけても、温泉に行っても、おされキャンプ場でも大きな神社でも、どこでもここでも売られているのは玉こんにゃくだの味噌田楽だのと、味噌の塗られた大きなおにぎりだ。


たとえ可愛いキッチンカーが停まっていたとしても、コーヒーとサンドイッチだの、ホットドッグだのと思ってはいけない。
コーヒーと玉こんにゃくだ。


そうだよな、どっちもお湯があればいいもんな…。
そして、下手したらこんにゃくは手作りだ。恐ろしい。こんにゃく作るとか…すごすぎて怖い。


「こっち来たら、ホントどこ行ってもこんにゃくありますねー」と会社の同僚に言ったら、同僚は驚いていた。
「え!!!東京ではこんにゃく売ってないんですか?」


…うん、売ってないよ?
こんなにどこでもここでも玉こんにゃくとみそ田楽が売られているなんてこと、ないよ?
そう答えると、同僚は「えええ…そうなんだー、こんにゃく、売ってないんだー」と納得いかない様子だった。
世の中には餃子消費量やうどん消費量を都道府県で競うことがあるが、こんにゃく消費量は山形が日本一らしい。


そうでしょうね。そんな山形のお隣だもの。そりゃ宮城もこんにゃくだらけになるんだろうな。
売られているのは普通の板こんにゃくだけじゃない。しらたきタイプのもの、うどんタイプのもの、きしめんタイプのもの、ちぎりこんにゃく、薄いこんにゃくをちぎったもの、田楽用、玉こんにゃく…とバリエーションも豊富だ。


そんなわけで、仙台に来てから、私も必然とこんにゃく消費量が増えている。
そしてもうひとつ、消費量が増えたもの、それは練り物。
なんてったって、笹かまの聖地ですものね。


どこに行ったってこんにゃくがあるし、至るところに笹かま店がある。
バスツアーの行程の最後は笹かま店での笹かま手焼き体験だったし、友人の家の年末の買い出しを手伝ったときだって、最後に立ち寄ったのは笹かま店だった。


笹かま手焼き体験の店で、なんとなーく、つられて笹かまと揚げかまぼこを買って、揚げかまぼこを大根と炊いたら、まあびっくり!なんという出汁だ。
すごいな、この揚げかまぼこ!!
と、感動して友人に言ったら「高政のかまぼこ、美味いでしょ、有名なんだよ」とのこと。そんな友人の実家はいつも松崎のかまぼこらしい。


みんなそれぞれ、贔屓のかまぼこ店があるのか…と衝撃を受ける。
そして女川町のかまぼこ屋、高政は仙台のデパートの地下にも入っているが、仙台では買えないかまぼこもあるのだ。
それは馬上かまぼこ。

www.bajo-kamaboko.co.jp


仙台には店舗がなく、名取や県南へ行かないと購入できない。
この店のキャッチコピーがすごいのだ。
味が跳ねてる


車で近くを通るたびに私が「味が跳ねてる」と音読するので、ついに友人が「行ってみる?」と車を停めてくれた。
そしてやっぱり笹かまと揚げかまを買った。美味しかった。跳ねてるかどうかはわからないけど。
おさかな天国だけあって、やはり練り物天国でもあるんだな、ここは。



これは2016年8月の仙台港
まだ横浜に住んでいた私が、仙台の友達のところに遊びにきて、うみの杜水族館に連れて行ってもらったあとで寄ったのだ。
震災後、初めて訪れた仙台で、「仙台港もここまで津波が来たらしいよ」なんていう友人の説明を聞きながら立ち寄ったベーカリーカフェに目を疑うものがあった。
一見普通の惣菜パンだが、そこには書かれていた。
ちくわパン」と。


ちくわ!!!
驚く私に友人は「え?食べたことない?あれ?そういえば東京にはなかったっけ。美味しいよ」と笑って言った。
東京にはなかったっけ…????
ええ、ええ、ええ、ええ、ありませんよ。
あまりの衝撃にその時は手にすることがなかった。


あれから時は流れ、そして仙台に住むことになったが、ちくわパンの存在はすっかり忘れていた。
友人がケーキとともに、うちにちくわパンをそっと置いて立ち去るまでは。



ああああ!ついにヤツが我が家に!お前がちくわパンか!
友人からは「あのときのまめちゃんの驚きが忘れられなかったので、パン屋に行ったついでに買ってみた」というLINEが来た。
…ありがとう、ありがとう。そうか、パン屋にちくわパンがあるのはデフォなのか…。練り物王国恐るべし。


いやしかしこのちくわパンがまた激ウマで驚く。
ウインナロールのかわりにちくわが入っていて、ちくわの空洞にはツナマヨが詰められており、さらに上にチーズとマヨネーズがかかっており、ものすごく美味しい。仙台は麻婆麺よりもちくわパンをご当地グルメとして推せばいいのに…!と思ったが、ちくわパンは北海道でもわりとメジャーらしい。


北の人間のみが知る楽しみだったのだな、ちくわパン。
また、仙台駅構内にもちくわパンの有名店があるらしい。
今日も私は友人にパン屋に連れて行ってもらい、ちくわパンを手に入れてきた。明日の朝食べるんだ、ムフ。


月末には親が仙台に来るらしい。きっとあの人もちくわパンに驚くだろう。「ちくわ!!!」と。
なにせどこに行こうとこんにゃくと練り物のある街だ。
もちろん米と野菜もあるけど。
…ホントに食材王国なんだな、ここは。