そういえば

帰ってきたおばあさん。

優駿

仙台での暮らしの中で時々、学生時代に住んでいた埼玉の田舎町を思い出すことがある。
狭山茶の栽培が盛んな町で、起伏のある土地に広大な茶畑が広がっていて、冬になると夜中でも霜警報のサイレンが響いた。
そして、免許を取り立ての友人の軽自動車で夜中の茶畑の農道を爆走したりした。



あの町に引っ越したばかりの頃、学校帰りに友人と歩いていたら、後ろからカポカポと音がして、振り向くと馬が居たことがあった。
近所に乗馬クラブがあるせいだったのだけど、本当に驚いた。
馬!生の馬が!!普通に道路を歩いている!!と。


昨日、友人鮭太郎の車で海沿いを走っていたら、鮭太郎が「あ!そうだここ寄ろう。馬が見れるんだよ」と車を停めた。
…馬。
確かに「馬見れます」「入場無料」とデカデカと書いてある。
馬か…。本当にあの埼玉の町とちょっと似てるな。埼玉より平らで海があるけど。



馬術馬場」とか「練習馬場」とか書いてある。
馬場と言ったら高田馬場ジャイアント馬場くらいしか馴染みがなかったが、馬を走らせる場所=馬場だよな。そりゃそうだよな。
乗馬クラブの生徒さんなのか先生なのかわからないが、みんなおしゃれな乗馬ウェアを着て、そして足が細い。乗馬って脚痩せ効果あるのかしら。いいわね。




厩舎を見学していると「馬出まーーーす」とガンダムのごとく馬が出ていく。デカい。そして馬の足の細さ、美しさよ。
なんでも元競走馬とからしく、父は誰、母は誰、と由緒正しい血統なども書かれていて、競馬に詳しくない私でも聞いたことのある名前の父親がいたりする。すごいな、サラブレッドって。




汗を飛び散らせながらぐるぐると走る馬。


学生時代、競馬好きだった恋人に連れられて、何度か中山競馬場に競馬を見に行ったことがある。
初めて見たのは確か朝日杯というレースで、グラスワンダーという馬が勝ったのだ。目の前をすごい地響きで馬が駆けていくことと、周りの人達の熱狂に呆然としながら見ていた。


ああ、馬ってやっぱり綺麗な生き物だな。
また競馬場かどこかでたくさんの馬がドドドドドと走るところが見たいなあ。あの迫力を感じたいなあ。


…と思っていたが、帰宅したところ、我が家の2匹の猫がドドドドドと馬の如く家中を大疾走し始め、2度ほど踏まれたので、もう願いは叶えられたようなものね。
馬が駆け回るような迫力を自宅で感じることができるのだ。そう、猫がいればね。

疲れたらベッドで休む猫。