そういえば

帰ってきたおばあさん。

カレーなる旅 3 野生のカレー



割と凝り性な方なので、カレーに気が向いている昨今では、どこかに出かける前に周辺のカレー屋を調べたりなどする。
先日、二子玉川に出かけた際も、事前にカレー屋を調べたら、玉川高島屋の中にベトナムカレーの店があってハッとした。

2014年 ホーチミン


コロナ前、そして猫を飼う前は、時折一人であちこちに旅行に出かけた。
2014年の年末はホーチミンに行った。
半袖で歩けるほど暖かいのに、街なかにはずっとABBAの「Happy New Year」が切なく流れていて、なんだか不思議だった。今でもあの曲を聞くとホーチミンを思い出す。



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もちろんフォーも食べたし、有名なお店のバインミーサンドも食べた。

ガイドにはぼったくられたが、美味しかった。
バインミーサンドの店。


しかし、この旅行期間中食べたもので、一番強く印象に残ったのはカレーだった。
写真が残っていないのが残念だが、確かマジェスティックサイゴンの横の通り沿いの喫茶店で、帰国の日の朝に食べたんだったと思う。
別にベトナムカレーが食べたいわけじゃなくて、なんとなくたまたまカレーだったのだ。

夜はこんな風に光る通り。


出てきたカレーがすごかった。確かシーフードカレーだ。
ココナツベースのカレーに海老も殻ごと入っていたが、レモングラスもどーんと太い茎が入っていた。そうか、ベトナムではカレーさえ、レモングラスの香りがつくのか、と驚いた。もちろんパクチーも入っていた。
それらを受け入れる、カレーの度量の大きさよ。和風だしだろうがココナツだろうがレモングラスだろうが、全てを飲み込んだ上で尚、見せつける存在感よ。


あれから時は経ち、ベトナムカレーのこともすっかり忘れていたが、思い出したなら行くしかあるまい、と高島屋ベトナム料理店へ。


そしてベトナムカレーランチを注文する。店員さんもベトナム人だ。
頭の小さい、すっきりとした見た目の店員さんが運んできてくれたカレーランチ。



一口食べて、ああ、そうか、と思った。
ああ、そうか、日本では日本向けにアレンジするよな。レモングラスが苦手な人も多いだろうしな、そんなの当たり前だよな、と。
あの日のカレーはもっと野性的だった。
ニラくらいの太さのレモングラスが2本くらい横たわって香りを放ち、パクチーも茎ごと入っていた。それらにすら、負けないカレーだった。


「昔懐かしいカレー」を求めてカレー巡りをしようと思った中で、忘れていた懐かしいベトナムのカレーを思い出した。これじゃあ、懐かしい野性的なベトナムカレーを求めて新宿辺りまで行ってしまいそうだ。
カレーの懐の深さ、そしてカレー沼の際限のない深さよ…。