陽気がいいので、江ノ島に行きたい気分になりながらも、今月も木馬亭へ。
昨日はちょうど日本浪曲協会設立80年の企画公演だった。毎月こういう企画公演をやっているみたいだけど、今回初めて見に来れた。
今月も無事に来ることができて良かった。来月は京山幸枝若独演会のチケット買ってあるので、定席は来れないかなあ。
中入りの時間、外のベンチでおじさんが「今浪曲聞きに来てるから電話出れなくて!」って携帯で話していた。「浪曲を聞きに来ているから電話に出れない」っていうのは人生で初めて聞く言い訳だな、と思った。是非とも直接電話で言われてみたい。
以前に尾瀬に行った時、「今ねえ、尾瀬なの~」と嬉しそうに電話しているおばちゃんは見たけど。
天中軒すみれ「関孫六伝 恒助丸の由来」 すみれさんはいつ見ても可愛らしい。私の耳が慣れたのか、音響さんが頑張っているのか、今日は耳がキーンとしなかった。刀鍛冶というのは刀を作る前にはみんな水垢離とか儀式をするもんなんだろうか、名刀だけなんだろうか、ってことが気になったので調べたい。
天中軒 景友「海の男」 この人の声の使い分け、すごいなあと思った。網元の声は渋くしゃがれてて、主人公の声はまた、すごいいい男の声だ。イケボってやつだ。男気!な話で面白かった。鳥羽一郎が聞こえてきそうな…。
国本 はる乃「子別れ峠」初めて見た人。「千と千尋の神隠し」の湯屋で働いてそうな感じの女性。お話はなんとなく夏目漱石の「草枕」みたいな感じ。地方の古い温泉街の美しい娘、あれこれの事情、噂話。
浜乃 一舟「三日の娑婆」この方も初めて。ちょっと前に国立博物館の特別展「空也上人と六波羅蜜寺」のチラシを見て、行くかどうか思案していたせいか、空也上人の如くありがたく見えた神々しいおじいさん。
「三日の娑婆」ってどういう意味かと思っていたら、江戸大火での罪人のお解き放ちだったのだなあ。なんとなく「舎利」と勘違いしてご飯か骨の話だと想像してしまっていた。
天中軒 月子「母の幸せ」浪曲ってよく、金のために性格の悪い金持ちの娘と仕方なく結婚した男性出てくるなあ。この男はともかく、妹のかずこの冷酷さたるや。でもまあどうなんでしょうね。「家のために尽くした」「子供のために耐えた」って言われる重さもわかる。そういう生き方を、立派と思っちゃダメな気もする。
神田 山吹「名君と名奉行」もう、今暴れん坊将軍に夢中なので、運命かと思った。お話に出てきた加納五郎左衛門も大岡越前も吉宗も、ちゃんと有島一郎、横内正、松平健で脳内再生されたわ。
関西では凧揚げじゃなくていか揚げていうの本当だろうか、騙されてるんだろうか。
関西だけじゃなくて江戸でも元はイカだったみたい。
東家 三楽「文七元結」落語で聞いたことあるやつ。最近江戸の地図をよく見たり、大川の身投げの場所を調べたりしていたので、「ああ、吉原から帰る時に吾妻橋に通りかかって身投げの人を助ける、なるほどね」と地理が頭の中でつながった。
三味線が、あれ?さっきのおじいさん?って思ったら、浜乃一舟さんは伊丹秀俊さんというお名前もあり、浪曲師も曲師もされてるぽい。勉強になる。
伊丹 秀敏(浜乃一舟) | (一社)日本浪曲協会
天中軒雲月「中山安兵衛婿入り」12月に「忠臣蔵 暁の陣太鼓」見たから、中山安兵衛の姿は男前の森美樹で脳内再生。この雲月さんの貫禄とか場数踏みまくってる感じとか、サービス精神とか楽しんでる姿とか、そういうのに圧倒された。プロ根性。
帰りに、ちょっと回り道をして押上経由で帰ろうとしたら、ソラマチに立派なお雛様が飾られていた。
いいものいっぱい聞いて、見て、いい一日だった。