そういえば

帰ってきたおばあさん。

あれはいいものだ  -富岡八幡宮骨董市-

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キシリア様に届けたい壺。


昔、両親が骨董市にハマっていたことがあり、毎週のように週末の朝早く、あちこちの神社やらに出かけていた。
そうしては、本物か偽物かは知らないが中国古代青銅器だと噂の泉ピン子そっくりの置物だとか、王貞治そっくりの石仏などを買い求めていた。


寒い冬の朝、まだ寝ぼけ眼のまま、車に載せられ、骨董市に連れて行かれた中学生時代。
そんなことはすっかり忘れていたが、今日、人生で初めて訪れた富岡八幡宮の境内で、骨董市が盛大に開催されていた。


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この世に骨董市があることさえ忘れていたが、いざ来てみると面白くて富岡八幡宮への参拝も忘れてあれこれの店を冷やかして歩く。
いいものもあるし、どうでもいいものもある。
人がいいと思うもの、自分がいいと思うもの、自分は興味ないもの、他の人にはいいもの。いいなと思う器の好みがどうしても親の好みに引きずられていて、ため息をついたりもする。


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お店のおじさんが常連さんと話しているのをこっそり聞きながらぐい呑など眺める。
「いろんな骨董市に行くとどこに行ってもだいたい同じようなものが並んでいるもんね」
「今はほら、コロナのせいで外人さんがいないからね。白人さんがあれこれ買っていくと物が動いて新しいものが出てきたりもするんだけどね」


そうだったのか。外国人が買い求めることによって骨董市の商品は新陳代謝していたのか。しかもそれは「白人」なんだな。レイシズムのつもりはないが、確かにあの人らはこういう「ジャパン」が好きそうだ。


六千円ほどする唐津焼の器に心惹かれたりもしたけれど、一番「あ!!!」と思ったのはこれだ。

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画報 近世三百年史


昭和30年代のディアゴスティーニみたいなもので1550年から1850年までが収められている分冊雑誌の1巻から9巻まで。
古い手書きフォント、今の「事なかれ主義」で中立的な説明に徹した文体と違って、説明文もちょっと明けすけで辛辣だったりする。
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尾張宗春の『御乱行』、だって。
吉宗評判記 暴れん坊将軍尾張宗春役は若き日の中尾彬なので、「あらあら、中尾彬、御乱行」と思ってしまう。

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カラーページもある。
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世界情勢にも眼を配る


仮名遣いが古いのも魅力だし、活字がちょっと潰れていたりすることにもトキめく。
だが、別にどこにでもあるもので、珍しくもないのだろう、9冊セット表紙付きで800円。
ああ、いい買い物した。


ちょっと続きも欲しくなるな。