ドキュメンタリー続き。
dengpao90.hatenablog.com
柳家小三治を追ったドキュメンタリー映画「小三治」に続けて、笑福亭鶴瓶を追ったドキュメンタリー映画「バケモン」を見た。
bakemon-movie.com
どちらにも「らくだ」という落語が出てくる。
らくだと呼ばれるろくでなしが死んで、兄貴分が葬式をあげようとして、通りすがりの屑屋をこき使って、香典やら酒やら棺桶やらを集めようとする。
「出すの出さねえのぬかしやがったら死人にかんかん能を踊らせる」というのが脅し文句だ。
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帰り道からこの歌がもうずっと頭を離れなくなってしまい、帰宅してからもyoutubeでいろんな人の落語「らくだ」を聞いた。
面白いままスパっと短く終わる「らくだ」もある。
どんどん恐ろしくなる「らくだ」もある。
みんなどこか飄々としたろくでなしばかりの「らくだ」、ドスの効いたヤクザみたいなのが出てくる「らくだ」。
小三治の「らくだ」は屑屋が酔っていく様子がゾッとするほど恐ろしい。
かつて薬物に溺れた人が、一生懸命社会復帰してごく当たり前の普通の人の顔をして生きているのに、ついまた薬物に手を出して落ちていくような、そういう恐ろしさ。
鶴瓶の「らくだ」はドキュメンタリーで切れ切れにしか聞いていないけど、どんな風なんだろう。
落語「らくだ」を17年間追い続けるドキュメンタリーで、17年の内にいろんな変化を遂げているらしい。
「バケモン」というドキュメンタリーは、本当は鶴瓶が死ぬまで出したらいけないと言われていたものを出しているらしい。
言いたいことがたくさんあって、伝えたいことがたくさんあって、まだ変化の途中、まだ着地点は決まっていない感じだった。
落語の「らくだ」を追いながら、鶴瓶という人間のことも細かく追いかける。
悪口じゃないけど、あの人つくづく「頭のおかしい人」だ。こういう人がテレビにでるんだな、と納得行く人だ
だけど、頭のおかしいあの人よりもきっと「普通の顔して、普通に生きている人」の方が心の底は恐ろしいよ、と思う。
「らくだ」の屑屋さんを見ていても、「死んでくれた」と喜んで笑う大家さんや月番さんを見ても。
NHKの「ドキュメント72時間」なんか見ても。
東電OL殺人事件を思い出しても、うちの会社の「処分報告」なんか見ても。
普通の人って恐ろしい。