そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

君の名は

写真でも絵でもなんでも、その写真が素晴らしいか絵が素晴らしいかもさることながら、何よりタイトルのセンスが問われるものだと私は思っている。
どんなに素晴らしい写真でも、タイトルが「久遠の彼方」とか「祈り-eternity-」とかだと「ああ、こういう小うるさい自分大好きなセンスの人ねーー」と、作品の魅力もガタ落ちになる。



反対にワイエスの絵のように「松ぼっくり男爵」などと名付けられていると、「松ぼっくり!そして男爵!?どうしてなの、ワイエス。でも好き!」と心を鷲掴みにされてしまう。


さて、先日宮城県美術館へ行ってきた。素晴らしい美術館だった。
大らかでのどかで、のんびりしていて、カフェの食事は大盛りだ。昼下がりの美術館の中庭のカフェで家族連れがもりもりとご飯を食べている。
なんだかスペインに行ったときを思い出した。この感じ、ここは東北なのになんだか、ヨーロッパ感あるな、と思っていた。

こんなイメージ。
宮城県美術館。やっぱり空が広い。


上野からポンペイ展が巡回してきていたけど、おそらくそこでベスビオ火山の絵か何かを見たのだろう人々が、「岩手山かと思っちゃったー、そんなわけないよねー」とアハアハ笑いながらご飯を食べていたので、その感想、すごいな、と私は心底感心した。


この日、私はポンペイ展を見に行ったのではなく、常設展を見に行った。
なんでも宮城県美術館パウル・クレーの絵を結構持っているとのことだったので。
そしてこの美術館は常設展の料金で佐藤忠良記念館に入ることもできる。


佐藤忠良宮城県出身の彫刻家で、絵本「大きなかぶ」の挿絵も描いた人だ。



この絵!
私も子供の頃、この絵で「大きなかぶ」を読んだなあ、この人だったのか!と驚いた。彫刻家の人が描いた絵だったんだなあ。
彫刻も素晴らしかった。躍動感ある鹿とか。



だが、何より「この人、なんかすごいな」と思ったのはそのネーミングセンスだ。

常磐の大工」
「群馬の人」
「鋳物職」


「にいがた」という女性像もあったので、地名シリーズかと思いきや、突然職業に変えてくる。
そしてどう見ても若かりし王貞治であろう彫刻の名は「記録を作った男の顔」



素直じゃないくせして、気取りすぎてもいないこのネーミングセンス。不思議な匿名性。いいな。
私、この人、好きだな、と思った。


宮城県美術館もしみじみ好きだな、と思った。なにせ常設展350円だしな。