そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

ガチ本気

月日の経つのは早いもので、あっという間に年末だ。
去年の12月はまさか仙台に引っ越すなんて思ってもいなかった。会社を辞めるかどうかもまだ迷っていた。
なんと激動の1年だったことよ。


さて、11月から無事に就職できたのだが、覚えることが山のようにあり、資格取得も必要なので、毎日忙しく働き、そしてガチで勉強もしている。まったくもって知識ゼロなので、まずは日商簿記3級を1月末に受ける。受かったら2級の勉強と、巡回監査士補、とやらの勉強だ。教科書と問題集はすでにたくさん頂いた。



そんな忙しい日々の中で、仙台での生活にはすっかり慣れたのかと言われればそんなこともない。
11月は家からほど近い池がリアル「白鳥の湖」になっていて大変驚いた。なんでも冬の間、シベリアあたりから白鳥がやってきて越冬するらしい。どうせならもっと温暖な地域に行けばいいのに、白鳥は仙台を選んだらしく、池だけでなく、稲刈りの終わった田んぼにもいる。


遠くから野生の白鳥がバッサバッサと翼をはためかせてやってくる様子は「ああ、鳥は恐竜だというのは本当なのだな」としみじみさせるほど、ちょっと恐ろしい迫力があるものだ。
ガチの白鳥だよ…と私は恐れおののくが、友人は「ああ、毎年来るのよ」と平然としている。白鳥が身近な生活か…。白鳥の湖が…。



12月驚いたのは、仙台の本気の寒さだ。関東で着ていたウールのコートや安いダウンで越せる冬ではなかった。
来週から寒波が来る、と言われた日、私はアウトドアショップに飛び込んで「仙台の冬が越せるコートをください」とお店の人にお願いをして、グースダウンのロングコートを買った。フード付きだ。


買っておいて本当に良かった。
これまでの人生、コートのフードはただの飾りだと思って生きてきたが、東北では飾りではなく、必需品だった。
毎日雪がチラつくのだ。そのため傘のかわりにフードをかぶる。そうでなくとも本気で寒いのでフードをかぶる。あまりの寒さに私は「なんで毎日雪降るの?バカなの?意味分からない。もう関東に帰りたい」と半ギレで歩いていた。

光のページェント。一緒に見に行った友人は「ひかペ」と呼んでいた。…ひかぺ…。


12月中旬になると、この街の「お正月への本気度」に驚いた。
生協の宅配のチラシを開いた瞬間、もう正月一色だ。正月用品以外はないほどだ。こんなに本気なの…?とおどろく。スーパーの店頭だってすごい。
餅の山だ。しかも、餅だけではない。あんこ、ずんだ、きなこの1kgパックが山積みだ。マジかよ…。


驚いていたところ、友人は言う。
「ほら、こっちはみんなが帰省してくるところだから。みんな集まるからお正月ちゃんとやるんだよ」


ああ…そうかー。確かにな。
…と、納得したが、更に謎風習もあった。
ホームセンターのお正月飾りコーナーにある日、POP広告がどーんと出ていた。
「本日は大安!お正月飾りを買いましょう!」


…お正月飾りを買うのに大安だのなんだの気にしたこともなかったが、こっちの人は気にするらしい。しかも、お正月飾りと一緒に、習字の半紙に海老が描かれたような謎の紙を持っていた。



なんじゃ、あれは。
と思っていた謎が今日解けた。
友人のご実家のお飾りのお手伝いをさせてもらったのだ。



これは「玉紙」という仙台の風習で、海老と昆布の二種類あって、海老の紙は神棚の鏡餅の下、昆布の紙はお仏壇の鏡餅の下に挟むそうだ。そして鏡餅は門松みたいに左右セットで2個置くらしい。
「仙台特有の文化らしいよ」と言うと友人は「え!知らなかった!」と驚いていた。


おまけに「輪通し」というものの作成も行った。

写真は借り物。


輪飾りの藁のねじれの隙間に松と昆布と紙垂を差し込むのだ。こんなことをしたのは生まれて初めてだ。
これも宮城特有の文化らしい。
なんてここらの人は正月に対して本気なんだ…。


まだまだこうして日々は驚きに満ちているし、いつ慣れるのだかわからない。
関東に帰りたい気持ちも少しはあるし、仙台での暮らしを面白がってもいる。
本気でずっとこっちに住むんだかどうだか、わからないまま激動の2022年は終わろうとしている。
仙台は年明けから本気で寒くなるらしい。私は本気で勉強をしていかなくてはならない。


とりあえず目の前のことだけ本気でやって、驚いたり、楽しんだりして生きていこう。来年も。