そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

ゴンドアの谷の歌


ゴンドアの谷の歌にあるもの。
「土に根をおろし、風とともに生きよう。種とともに冬を越え、鳥とともに春を歌おう。」
どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんの可哀想なロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ


ジブリは学びの多いアニメだな。



土曜日は芋煮に行ってきた。



天気も良く、寒くもなく、木々も少しづつ色づき始めていてとても楽しかった。
人生2度目の芋煮。まだまだやはり、人々の「芋煮慣れ」「芋煮への情熱」には驚かされる。カセットボンベで使えるガスストーブを持っていたり、立派なテーブルを持ち込んでいる人もいれば、さんまを網焼きにしている人もいる。農家の方なのか、藁を持ってきて着火剤にしたり藁焼きにしたりしている人たちもいた。


朝イチで始めて昼には撤収する組もある。海外旅行のようなスーツケース持参で来て、スーツケースの中身はすべて芋煮セット、という人たちもいる。そうか、スーツケースって芋煮具材運ぶのにも使えるんだな。
すごいな。本当に、すごいな。



お腹がいっぱいになったら、コーヒーでも飲みながら焚火タイムだ。
今回、我々は誰かが使ったあとのかまどをそのまま2つ使わせてもらった。石をちょっと足したり、引いたりしながら。
そのように、芋煮シーズン開幕後は大体、人の使ったかまどをアレンジしながら使うことが多いそうだ。混み合って、既存のかまどがなければ新規作成するのだろうが。


人々が撤収し始めたあとで、かまど跡を見て回る。まるで縄文人の生活跡でも眺めるような心持ちだ。


一番左のかまどは素晴らしい安定性だった。
友人鮭太郎曰く、今までの芋煮で一番素晴らしかったかまどは、元自衛隊員の作成したかまどだったそうだ。自衛隊員は塹壕掘りだけでなく、かまど作成も上手なのだな。当たり前だけどサバイバル能力すごい。


さて、こんなかまどを見ていて、私は以前からずっと不思議なことがあった。
人が使い終わったあとのかまどはまだ熱々だし、炭が完全に消火できていないことの方が多い。ただでさえ歩きにくい石だらけの河原で、もしも転んで熱々の石に手をついたらどうなるの?サンダルでうっかり踏んで怪我をしたら?子供が走り回ってかまどに入ってしまったら?

100均の網で熱々チーズとバゲット、最高だったわ。


しかし、そんな事件は起きていないのだ。
私はそこに東北の子どもたちの危機管理能力の高さを思って驚愕する。
先日、山形の立石寺に行ったときもそうだった。



この道。横は断崖絶壁だ。私は怖すぎて壁にへばりついて歩いた。
こんな所、もしも子供がはしゃいで走り回ったら落ちて死ぬじゃないか、と心配で仕方なかった。
安全なハイキングコースである高尾山だって、はしゃいで走り回った子供がコースから落ちて怪我をしたり、亡くなった大人だっているのだ。
でも、ここでは平気で子どもたちも登ってくる。そしてはしゃいで走り回るということもない。
なんという危機管理能力だ。


そんな驚きを口にした所、今回の芋煮に初参戦した首都圏男子が川向こうの絶壁を指さし、「あー、確かに関東だったら、あの岩の上に”飛び込み禁止”って横断幕貼ってありますよねー」と言う。
そうそうそう、関東だったら絶対、キャンプ場とかの岩場に貼ってある。そしてそれでも飛び込む奴がいる。怪我をする者も、流される者もいる。


やはり、これは自然が身近な者と身近でない者の差なのではないか、と思う。
自然が身近でない者は、ついうっかりはしゃいで走り回って痛い目に遭うのではないか。自然の驚異への想像力が欠けてしまうのではないか。やはり人は土から離れては生きられないのではないか。


そんなことを思っていた矢先、痛ましいニュースを見た。4歳の子供が都営住宅から落ちて亡くなったという。
そのニュースを聞いてすぐ、山寺のあの崖を思い出した。そして東北の子供ってすごいな、と再度しみじみした。
山も川も水田も、芋煮も虫も魚も当たり前の世界で生きているんだものな。
こっちの子の育ち方ってゴンドアの谷の歌みたいだものな。