そういえば

横浜→仙台へ移住したばかり。

言えないよ



言えないよ、好きだなんて。



好きは言えても「今週もありがとう」はなんと言っていいかわからない。
中国語の話だ。


2年ほど趣味で中国語を勉強していて、この4月からはオンラインの中国語会話のレッスンを受けている。英会話にもよくあるタイプの、ネイティブスピーカーにSkypeで教えてもらうやつだ。
フリートークはできないので、先生が読む文章を聞き取って意味を伝えたり、先生と同じように読んだりする。

リピートアフターミー。にゃーーー!


先生はとても優しいいい人だ。あまりに一生懸命教えてくれるので先生のためにも「もっと頑張らねば」と思う。
モチベーションが上がるのはいいが、それと同時に愕然としたりもするのだ。


2年間中国語を勉強してきて、少しは聞き取れる。意味もわかる。漢字を見たらもっと意味がわかる。
でも、しゃべろうとしたら、「ちょっと最後が聞こえません」も「先生のおかげで楽しいです」も言えやしない。


もっと言えば先生が「いいですね!」「発音も正確ですよ」と褒めてくれた時に「謝謝」以外、なんて言ったらいいかわからない。
言葉が口から出てこない。

なんも言えねえー


毎日一つずつ「先生にこれ言いたい」「あれを伝えたい」を調べるようにしているが、どうして「傘を電車に忘れました」が言えるのに、相槌を打ったり、適切な返答をしたりできないんだろうとびっくりだ。


知っているはずの単語が、意味とつながらなくて、頭の中でひらがなのままぐるぐるまわっていることもある。
「しゃんとぅー…しゃんとぅーってなんだ…なんだっけ…」


先生は笑って「これは具合が悪い人ですね。吐きたいということです」と言った。
あああーー「しゃんとぅー」って「想吐」か!

想吐なやつ。


昔、職場の韓国人が持ち歩いていた日本語学習用の小さなノートをチラ見したことがある。
例文は全て大福だった。
「大福はどこにありますか」
「私は大福が食べたいです」
「大福が2個ほしいです」
どれだけ大福が好きなのよ…、と衝撃を受けたが、自分が外国語を学ぶ時、あのノートのことをよく思い出す。


外国の人が書く、不慣れなひらがなと漢字で、一生懸命書かれた大福の例文。向学心と向上心と生活力の詰まったあの小さなノート。
あの一生懸命さを見習いたい。「これが伝えられないと生きて行くのが不便なんだ」という気迫で私も勉強したい。
それで小さなノートを買った。
大福の例文は書いてないけど、声調と、先生に明日伝えたいことが書いてある。


いつかもう少しなめらかに相槌をうてるようになって、声調も正確になって、そして先生にたくさん感謝の気持ちを伝えたい。
明るくて優しくてオープンマインドで可愛くて、辛抱強く教えてくれる彼女に。